第88回  わからない

子育てゼミナール

はいはいみなさんこんにちは。

さて「こんなことぐらいどうしてわからないの!?」と怒れてくることもあるじゃろう。

その“こんなことぐらい”が難しい。大人は鍋からブクブク泡が立っていると熱い湯だと思い、それがただの水でも手を入れた瞬間、「熱い!」と感じてしまう。

じゃが小さい子には既成概念がないから手を入れてもただの水としか感じん。

それだけ大人とこどもには経験の差があるというもんじゃ。

また例えば「頑張って」の一言。

靴を自分で履くように言ったが「できない(履けない)」と子が言った。

親は「〇ちゃん、頑張って(努力して自分で履いてみなさい)」という。

すると子が「〇ちゃん頑張れない」とすぐ答えた。

大人は「頑張りたくない(頑張らない)」という意味で捉える。

しかし子は「頑張る」の言葉の意味そのものがわからんだけじゃった。

だからそのまま復唱しただけ。

「“頑張る”とはなんのこっちゃ??」ということじゃ。

例えば「わざと」の一言。

兄のおもちゃが弟の頭に当たったとする。

「わざとしたの!?」と聞いたら、子は悪びれもせず「わざと」と答えた。

このとき子は「わざと」の言葉の意味そのものがわからんままに「わざと!?」と聞かれたから、わざとじゃないのに「わざと」と答えてしまった。

ただとりあえず復唱しただけ。

「“わざと”とはなんのこっちゃ??」ということ。

大人は自分が当たり前のように使ってる言葉やしていることじゃから「言葉の意味そのものがわからないのに答えるわけがない」「それぐらいのことわかるでしょ、普通に」と思い込んどることがある。

「言い返した!」「わざとするなんて!」「ふてぶてしい!信じられない!」などと誤解し、根本からズレが生じとることに気づかんと時は過ぎていく。

それは大人と子の心のすれ違いをもたらし、溝をどんどん深くしていってしまうかもしれん。

大人の『常識』も子にとっては繰り返しの経験で身についていく、『いつしか常識となるもの』。

そのことを常に意識して「こんなことぐらい」の言葉を手離すだけでさらに子育て上手になれるぞよ。

ぬほほほほ。