第68回  絵本

子育てゼミナール

さてさてみなさんはどのように絵本を買っとるかな?

こどもが欲しがったものかな?

それともみなさんが選んで与えとるのかな?

いやいや、本を読むことは非常に良いことじゃて、どちらでもかまわんなぁ。

最近はいろんな絵本が出ておる。

擬人化での表現ではなく、直接的な表現で親子関係に触れておる内容のもんも、ようみかけるようになってきたのぉ。

基本的に絵本そのものに良い悪いなどないとは思っとるが、絵本の内容によっては与えるタイミングや相手の境遇次第で、薬になるものもあれば毒になるものもあるとわしは思っとるぞ。

例えば、直接的な表現で、“親が死んだら悲しいよ。だからいい子にして親を大事にしましょう。”などの親のありがたみを押し付けるような脅迫めいたもの。

親の尊さを知るのはとても大事。

じゃが、幼いこどもはまずは自分のことで精いっぱいが普通の時期。

脳の成長とともに、自分のことを少しずつコントロールできるようになると、人にも少しずつ目を向けることができるようになってくる。

そして自分の気持ちだけでなく、人のことを少しずつ思いやることができるようになるが、スムーズに人間関係を築いていけるようになるには物心ついてから何年もかかる。

こどもは友達同士でもまれ、傷付き、立ち直り、立ち向かい、落ち込み、怒り、悩み、乗り越え・・を幾度となく繰り返し、心を鍛えて自立の準備をする。

その成長過程の癒しであるのが、自分を世話してくれる大人の存在じゃ。

養育者は心の安全基地。

傷付いた心を癒してくれるだけではなく、どんな自分も拒絶することなく受け止めてくれる場所なのじゃ。

ときには外でたまったストレスをワガママいっぱい駄々をこねたり、八つ当たりして発散する。

甘えも許してくれるが度を越すと叱られる。

しかし、そのあとは必ず、また元通り、自分を受け入れてくれる。

だから安心して自然な自分をさらけ出せるんじゃ。

なのに、まだ未熟なこどもが大事な人を失う恐怖を煽られ、まともに捉え、心休まることなく不安に脅え、憑りつかれ、いつもいい子を必死で振る舞わねばならんだら、外の世界でダメージを受けたこどもの心はどこで回復をするのじゃろう。

小学校を卒業するまでは「おじいちゃんに優しくしてあげてね」「お母さんを大切にしようね」「兄弟は大事」のような優しい教えで充分。

脅しは余分。

じゃが基本的人格形成もしつけも終わった中学生以降で、親不孝者や罰当たりもんには、嫌っちゅう程、そんな絵本を読ましてやって、いっちょ、ガツンとお灸を据えてやってもよいとわしは思うぞ。

ぬほほほほ。