第28回 ピエロ

子育てゼミナール

ぬほほほほ。
みなさんこんにちは!元気にしておったかの。

みなさんはこどもの心の健康を日頃、どんなふうに気にかけておる?笑顔があるか、よく遊ぶか、食欲があるか、と言った感じかの?

うんうん、そういったこどもの様子、表情や言動を常に意識できとることは素晴らしい。

養育者も家事に仕事に人間関係といろいろ大人は大人で時間に追われることが多いから、こどもへの関心を怠らないことは当たり前のようでなかなか大変じゃ。

それに大人だからと言って、心も大人でタフな人ばかりではない。

心がナイーブで自分の心を保つのも精いっぱいな人も少なくないようじゃ。

そういった気持ちも理解しているうえであえて、今一度ここで振り返ってみてほしいことがある。

こどもは大好きな養育者に心配をかけたくなくて、無邪気なこどもを演じてはおらんじゃろうか?

本当はとても良くできる子なのに『天然』のフリをして養育者の笑顔を誘おうとしてはおらんじゃろうか?

ダメな子を演じて〝 お世話役 〟を与えることで養育者を寂しがらせぬように気を遣ってくれてはおらぬじゃろうか?

クールでしっかりした子を装い、常に優しさや気遣いをくれ、養育者を保護しようと無理してくれてはおらんじゃろうか?

こどもはこどもで一生懸命、養育者の表情を見ている。

言動にはもちろん、表現していない養育者の心の動きも敏感に察知する。

養育者が頼りなかったり、心配性すぎると、こどもはこどもなりに人間関係に苦悩することもあるのじゃが、こどもは大好きな養育者を傷つけたくなくて、辛い時に辛いと表現をせず、悩みを打ち明けず、いつも明るく元気に楽しそうに振る舞ったりすることがある。

本当は泣きたいとき、助けてほしいときもあるのに。

養育者が人生をつまらなそうにしていたり、養育者同士がいがみ合っていたりすると、自分がピエロになることで〝 養育者の心を少しでも明るくしたい、養育者同士が顔を見合わせて、少しでも笑いあってほしい 〟と大人の意表をつく行動やおどけた行動ばかりをするようになることがある。

目立つことに疲れるときも恥ずかしいときもあるのに。

養育者自身が自己存在価値を見いだせず、卑屈だったり悲観的だったり、愛情不足を感じていたりすると、「 僕にはおかあさんが必要だよ、おかあさんがいないと僕なんにもできないんだよ、だからずっとそばにいて。健康でいて。 」と言わんばかりに不器用や失敗を繰り返すことがある。

「 私がついていなければ 」と生きる意味や使命を感じてもらえるように。

本当はできるのに、本当は頑張れるのに。

養育者がいつも疲れていたり、多忙すぎたり、人間関係に悩んでばかりいると、こどもは養育者を可哀想に思い、養育者の悩みを聴いたり励ましたり、お手伝いの域を超えて家事の役割を自ら、すすんでしたり、年齢にそぐわない面倒見の良さを発揮することがある。

本当は甘えたいのに、わがまま言いたいのに。

『 こうでなければならない子育て 』 もなければ『 こうでなければならない養育者 』 なんてものはない。

じゃが、子育ても、養育者とこどもの関係も、行き過ぎや、偏りすぎはちとまずい。

家庭の中でこどもが子役俳優をせんでええような関係でいてあげたいのぉ 。